「山里は持続可能な世界だった」を鑑賞して

関東の里山

原村政樹監督ドキュメンタリー映画
「山里は持続可能な世界だった」を
鑑賞してきました。

 

トップ写真は、神奈川県の里山風景ですが、
映画は、埼玉県秩父市が舞台となっています。

 

映画では、戦後の高度成長期以前、
当時を生きた現在では80歳を超える人たちが
里山で撮影された白黒写真を見ながら
村の暮らしを語るところから始まりました。

 

そこには現代社会からは想像もつかないような
自給自足に近い暮らし。厳しそうな労働の日々。

 

「村には大勢の人が暮らしていて勢いのあった時代だった」
「小学生の頃から、毎日、親の仕事の手伝いに明け暮れた」
「貧しかったけど村の皆で支え合って暮らしていた」

 

今では失われてしまいつつある共同体の姿。

 

以前、鑑賞した高野光正コレクションの
絵画に描かれていたものも
山里だけではありませんでしたが、

 

共同体として人々が助け合って暮らす様子だったなと
時代は違っても、ここでの繋がりを感じていました。

神奈川里山

また、5〜60年前の国の政策で、
広葉樹が切り落とされ、
山が檜、杉の針葉樹に様変わり。

 

それが、外国の安価な木に
経済が流れて
何十年も伐採されずに放置された山。

 

それが地盤が弱り、土砂崩れなどの災害に
繋がったり、

 

広葉樹がなくなったことで
住む場所を変えざるをえなかった
猿、鹿、猪が村に出てきて
畑を荒らす。

 

昔は、村で見るなんて
なかったことだそうです。

 

神奈川里山

ボタニカルライフプランナーとして
心に残ったのは、

 

鍛冶屋、炭焼き、養蚕農家、椎茸農家
生活雑貨、林業など生業の継承者たちの話です。

 

「森の生き物たちと共存できるように
むやみに取らず、必要な分だけとる。

「とるところも考える」

 

「風雪に耐えて育った山の恵みに
感謝の心を持って、使わせてもらう」

 

今でこそ「持続可能性」が提唱され
世の中の意識化にあげられることですが、

 

それは当たり前のように根底にある
暮らし方であるということ。

 

また
森は20年に一回、伐採することで
新たな命が蘇り再生する。

 

その伐採の仕方にも
森の営みを大切にした工夫が
見られました。

 

色々な観点でこのドキュメンタリーを
味わえると思いますが、

 

ボタニカルライフプランナー協会の掲げる
植物を生活に取り入れる楽しさや
植物がある暮らしを次世代に継承できる社会を
創造するために(ビジョン)

 

自らが楽しめる暮らしと植物の知識
またその知識を活かして活動ができる人になる
人材育成をしています。(ミッション)

 

その中で大切にしている考え方が
「ウェルビーイング」(バリュー)

 

その観点からも3つ書かせていただきます。

 

日本人の精神性と自然との共生

古くから日本人には
すべての自然物に「命」が宿っているという
考え方が根付いています。

神道や仏教にも
自然を尊び、畏敬の念を抱くことが
教えられます。

 

山里の暮らしでは
このような精神性が日常生活に深く根付いていて、

人々は自然を資源としてではなく、
共に生きる存在として捉えています。

 

映画では、山や川、木々に対して
祈りを捧げたり、

 

感謝の念を持ちながら
生活する人々の姿も描かれていて、

 

これも1つの持続可能な
生き方の基盤と感じました。

 

自然の一部であるという認識は、
”ウェルビーイング”に大きく貢献します。

 

人々が自然と深く結びつき、日々の生活の中で
自然の恩恵に感謝することで、
心の安らぎや充足感を得ることができる。

 

本当に自然への敬意と感謝がある中にいると、
現代社会が抱える多くの精神的な問題は軽減されるのでは
ないかと感じたほどです。

 

 

コミュニティの中での共生と精神性

また、山里の生活には、
コミュニティ全体で自然と共生する強い結びつきがあり、
これも日本の伝統的な精神性に根ざしています。

自然界で生きとし生けるものと
共に生活しているという認識は
山里の人々の協力と助け合いを深めていました。

 

共に自然を守り、
他の生き物たちとも資源を分かち合うことで、
コミュニティ全体の幸福感や安定感が高まり、
全体のウェルビーイングが促進されている形。

 

都市部では、効率や利便性が優先される一方で、
人々のつながりが希薄になりがちですが、

 

自然と共に生きることで生まれる共感や
連帯感が、個々の幸福感を高めているようでした。

神奈川里山

 

持続可能な未来への道筋

自然との共生は単なる過去の生き方ではなく、
未来を考える重要な要素。

 

この映画鑑賞は、
物質的な豊かさに偏らず、
本当の豊かさを考えさせられる機会にもなりました。

 

映画の中にあったこんなエピソード。

ある大手のホームセンターの役員の方が
鍛冶屋にきて、大口の発注の相談でこられた。

 

それは「すぐに壊れる農具」
3ヶ月ぐらいですぐ壊れるものを
作って欲しいという相談。

 

たくさんのお客さんが何回も
ホームセンターに足を運び、
かってくれたら

 

農具の発注は増えるし、
ホームセンターも豊かになる。
悪い話ではないでしょうということ。

 

ですが、壊れず、長持ちして、使いやすい
いいものをいかに作るかを
試行錯誤してやってきている身にとって

いかに屈辱的な言葉だったかということを
語られていました。

 

すぐにできる
たくさん作る
たくさん使う

 

そして今は、タイパ時代も重なり、
ゆっくり物事を見たりきいたり体験することなく

 

短い時間でより多くの情報に触れたり
短い時間で何かを得ようとする

 

そんな傾向にあるように思います。

 

そこには色々な価値観があるわけで
良いも悪いもないのですが、

 

そんな今だからこそ、
それぞれがそれぞれの立場でみて
感じ取ることがあると思うので

 

お話をうかがってみたいです。

 

山里は持続可能な世界だった

一緒に行った20代女子の感想

里山で生活を営む人々が
自然をリスペクトしているのが素敵でした。
「山里は持続可能だった」という
タイトルのように過去形になってしまっているのが
悲しいと思いました。

里山の恵みで作った商品を買って
応援したい気持ちになっています。

 

劇場上映情報

<東京>
ヒューマントラストシネマ有楽町
2024年9/6~ 1回/1日上映

<埼玉>
川越スカラ座
2024年10/5~10/19

<兵庫>
シネ・ピピア
2024年11/8~11/14

 

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