6月30日。
水無月の晦日──年の折り返しの日です。
梅雨の湿気を含んだ空気のなかで、
「風待月」とも呼ばれるこの季節。
ほんのささやかな風に
喜びを感じることができたか、
ふと自分に問いかけてみます。
夏越の大祓──植物とともに、心とからだの穢れを流す日
この日、日本各地の神社では「夏越の大祓」が行われます。
茅の輪をくぐり、人形(ひとがた)に息を吹きかけ、
半年のあいだに積もった“けがれ”を
そっと祓って、新しい時間を迎える──
そんな「心とからだの区切り」のような日です。
水無月──お菓子に込められた「祓い」のかたち
京都の老舗和菓子屋・仙太郎さんの
「水無月」には、夏の祓いに込められた
物語が息づいています。
丹波工場の裏山には、
かつて天然氷を蓄えた“氷室”の跡地があり、
その氷を宮中へと運び、
夏の健康を祈って氷を口にしたという
古の習わしがありました。
庶民が氷に触れられなかった時代、
氷のかけらに似せた三角の外郎をつくり、
小豆を散らして魔除けとした──
それが「みなづき」の始まりです。
このお菓子を食べて梅雨と別れ、
祇園囃子が聞こえ始める頃、
京都は本格的な夏へと向かっていく…。
そんな季節の節目を伝える、
静かで力強い和のかたちです。
※ちなみに「水無月」の“無”は「無い」ではなく、「の」を意味する助詞。
「水の月」──田に水を引く、恵みの時期をあらわしています。
ボタニカルライフプランナーの夏越リチュアル
植物の香りとともに、自分を整えるお風呂時間
この夜、用意したのは、
ラベンダーの石けんと植物アロマのバスソルト。
-
ラベンダー、メリッサ、ローズマリー、
ゼラニウム、レモニーの葉
(レモニー:レモンマリーゴールド) -
天然塩300g(大地のちから)
ティーバッグに詰めて、湯船にぽん。
ラベンダーの香りは「洗う」という語源を持ち、
まさにこの日にぴったり。
湯気のなかで植物の香りがふわりと広がると、
心の内側までゆっくりとほどけていくようです。
小さな浴室にキャンドルを灯すと、空間がすっと広がるよう。
静かな時間に、自然の香りがしみわたっていきます。
香りが連れてくる記憶のかけら
手を浸すお湯、ハーブの香り、
キャンドルのゆらぎ。
そんな時間のなかでふと思い出すのは、
過ごしてきた日々のこと、
家族のこと、たわいもない会話のかけら。
「あのとき、あそこへ行ったよね」
「この味、あのときのと似ているね」
何気ない会話のなかに、
確かに共有した時間が立ち上がってくるのですね。
節目に思い出すこと──それもまた“浄化”
毎日はあわただしく、
気づけば季節が変わってしまいます。
だからこそ、こうした節目に
「自分の時間」を意識すること──
それは、植物の香りに包まれながら心を整える、
とてもやさしい“お清め”だと感じています。
「夏越の祓(なごしのおおはらえ)」
半年の感謝と、これからへの祈りをこめて。
植物とともに過ごす一日の静かな“しるし”として。
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